さて、時あたかも日蝕でございますが、まあそれはそれとして、にしき的フォントを更新しました (Version 2.35) 。


気になったところを全体にわたって細々と修正・調整したりしています。
その他、以下のような文字などを追加しました。

  • 漢字を90字ほど追加 ; 総計は2870字少々
  • 「Runic」(ルーン文字)にUCS提案段階の文字8字を追加
  • 「Dingbats」(装飾記号)ブロックの矢印類を多少追加
  • 「Miscellaneous Symbols and Arrows」(その他の記号及び矢印)ブロックの提案段階の記号類を N4244 あたりに基づいて並べ直し、および追加
  • 私用領域に雑多な記号を多少追加



追加したUCS提案中のルーン文字は、ファンタジー作家J・R・R・トールキンが『ホビットの冒険』などで現代英語をルーン文字でそれらしく表記するために作り出した翻字法において独自に追加された3字*1
ならびに、フランクスの小箱 Franks Casket ないしオーゾンのルーン小箱 Auzon Runic Casket と称される7世紀アングロサクソンの鯨骨製の美術的遺物 (大英博物館蔵) に刻印されたルーンの銘において母音を表すために使われている独特の字形の5字です。


私用領域に追加したのは、まず密教がらみのシンボルが2つ。「妙法蓮華経呪咀毒薬」および「令百由旬内無諸衰患」という九字の切りかたを表した図らしいです*2

それから円の中に三角や四角が描かれた記号、これは囲碁の盤面図において石の打ちかたなどを指示するためにしばしば用いられるものです*3

半分だけ塗られた星形は☆をならべて5段階評価などを示す際に0.5点ぶんを表すためにしばしば見られるもの。

さいごに、トルコの通貨トルコ・リラの記号。従来は「TL」と書かれていましたが、独自のシンボルを決めることになり2011年10月に公募され2012年3月に発表されたばかりのものです。UCS提案も行われていますがコードポイントがはっきりしていないのでとりあえず私用領域のてきとうなところに (追記: と思ったらはっきりしていたので、次回更新の際に修正します) 。






あとそれから、 U+EFF0-EFFE のところを使って、ちょっとしたお遊びのようなものを入れてあります。これは今ヴァージョン限りのおまけです。BabelMapなどのキャラクタマップヴューアかなにかでご覧ください。

*1:なお、ルーン文字に擬して同氏が創作した独特の書記体系であるところの《キアス》にもそれぞれと同形の文字が存在しますが、音価は異なります

*2:ちなみに今昔文字鏡にはこれらが漢字に交ざって収録されています

*3:この記号が使われている例 (PDF)